ご覧いただきありがとうございます。ここでは、オペアンプ(Operational Amplifier、演算増幅器)の特徴を表し、周辺回路の設計のためにも基本的な考え方となる仮想短絡(イマジナリーショート)について、ざっくりと説明させていただきます。実際には入力を短絡するわけではないので、なかなかイメージしづらい考え方かとは思いますが、実はオペアンプの特徴を表している考え方なのかと思いまして、そのあたりをご説明いたします。
※2025/4/17 反転増幅器の増幅率の計算式が間違っていることをご指摘いただき、訂正いたしました。大変申し訳ございませんでした。
仮想短絡とは

オペアンプの記号はこのようなものです。入力はーと+が書かれた2つがあり、それぞれ反転入力、非反転入力と言います。省略されることも多いのですが、正の電源(例えば+15Vなど)と負の電源(例えば-15Vや0Vなど)の2つの電源があります。

オペアンプの役割は、2つの入力の電圧差を増幅することです。その電圧差をΔX、出力電圧をYとすると、Y=A・ΔXというように、入力の電圧差をA倍して出力すると表すことができます。増幅率Aはとても大きい(数万倍とか数十万倍)という特徴があります。これを数式上でみると、ΔXは0に近いとも言えます。
ΔXが0ということは2つの入力が同電位で短絡しているということになります。この考え方を仮想短絡(イマジナリーショート)といいます。しかし、増幅率Aが大きいといっても、実際には出力Yは正電圧~負電圧の範囲は超えないのでAは無限ではないです。同様に2つの入力は実際には短絡されるわけではないので、ΔXも0ではないです。オペアンプ単体では2つの入力差によって正電圧か負電圧になるまで増幅してしまうので、一定の倍率を得るためにはオペアンプの周辺回路をうまく設計する必要があります。この設計をするにあたり、仮想短絡という考え方が必要になるのです。
増幅率Aは非常に大きいので、オペアンプ単独では電源電圧まで出力を増幅してしまうので使いにくいです。オペアンプは、入力の僅かな電位差を増幅するのに使われるのですが、やはり、一定倍率になるようにしたいですよね。そこで、仮想短絡の考え方を使って一定倍率になるような増幅器の設計方法をご説明いたします。仮想短絡で考えると、オームの法則やキルヒホッフの法則によって簡単に回路設計することができます。
反転増幅器の設計方法

ここでは、オペアンプを使って入力を一定倍率に増幅して出力する回路設計について説明いたします。まず回路の入力Vinとオペアンプの反転入力(-)の間に抵抗R1を置きます。出力Voutを抵抗R2を介して反転入力に戻します。非反転入力(+)はGNDに接続します。ここで仮想短絡により、右上図のような回路と考えることができます。短絡した場所は0Vと考え、流入する電流の合計は0と考え、図のようにI1+I2=0となります。これを計算すると入力電圧Vinと出力電圧Voutは、

オペアンプを使った反転増幅回路の倍率計算式
※2025/4/17 計算式が間違っておりましたので訂正いたしました。
となります。これが反転増幅回路の倍率計算式となります。出力は入力の極性が反転されるので「反転増幅」と呼ばれています。
非反転増幅回路の設計方法

もう1つ、入力の極性を反転しない増幅回路も設計できます。今度は非反転入力(+)の方を入力とします。左上図のように出力側に抵抗R1とR2を設け、その中点を反転入力(-)に戻します。ここでも仮想短絡により、右上図のように考えることができます。R1とR2の中点に流入する電流と流出する電流は同じになるので、I1=I2となります。これを計算すると入力電圧Vinと出力電圧Voutは、

オペアンプを使った非反転増幅回路の倍率計算式
となります。これが非反転増幅回路の倍率計算式となります。出力は入力の極性が反転されないので「非反転増幅」と呼ばれています。
2種類の基本的な増幅回路の設計をご説明いたしましたが、いずれも出力を反転入力(-)に戻しているという特徴があります。オペアンプの入力電圧差を0に近づけるように出力を戻しているというイメージになります。このことを負帰還といいます。負帰還により入力を一定倍率に増幅して出力する回路をつくることができます。
まとめ
オペアンプの特徴を表している仮想短絡(イマジナリーショート)の考え方と、その考え方に基づいた増幅回路の設計方法について、ざっくりとご説明いたしました。実際には短絡しているわけではないのでちょっと考えにくい感じがしますが、オペアンプの特徴ということでこう考えると周辺回路をうまく設計できる、というものだと思っております。負帰還の回路を作ることにより、入力の僅かな電圧差を一定倍率で増幅することができるので、いろいろな用途がありそうですね。


