ご覧いただきありがとうございます。ここではMOSFETの動きを、回路記号の形からざっくりイメージするコツについて解説いたします。バイポーラトランジスタと同様、記号中の小さな矢印が特徴を表しているのですが、動作のイメージで考えるとバイポーラトランジスタとはちょっと違う考え方になってしまうこともあり、注意点もまとめていきます。
まずは記号を眺めてみよう

MOSFETはこんな感じの記号で書かれています。やはり矢印の違いだけで2種類あるようです。バイポーラトランジスタよりちょっと複雑ですね。右側の図をよくみると、こんな4つの特徴があるようです。

やはり3つの出入口があり、それぞれG(ゲート)、D(ドレイン)、S(ソース)といいます。記号の形から4つの特徴を読み取ることができます。これらはMOSFETの特徴をそれぞれうまく表現しています。
① 小さな矢印がある
これはバイポーラトランジスタと同様、P型半導体→N型半導体の方向を表しています。後述する半導体の構造をみてみるとわかると思います。
② G(ゲート)の先が離れている
MOSFETの特徴の一つです。これも構造を見てみるとわかりやすいのですが、Gの部分はM(Metal: 金属)・O(Oxide: 酸化膜)・S(Semiconductor: 半導体)という構造になっており、これがMOSFETの名前の由来になっています。O(酸化膜)は電気をほとんど通さない薄い膜状になっています。
③ 点線が書かれている
これもMOSFETの特徴で、チャネルを表しています。詳細は後述いたしますが、Gに電圧をかけることでこの部分の性質が変わり、電気の通り道(=チャネル)が形成されるのです
④ つながっている所がある
これも構造から来ています。後述の構造を見てみるとわかると思います。
MOSFETの構造を見てみる
こちらがMOSFETの構造を模式的に表したものです。

前述の①~④の特徴が構造から由来していることがわかります。チャネルと書かれている部分は通常はP型なのですが、G(ゲート)にプラスの電圧をかけてやると、P型のなかの電子がゲート近くに引き寄せられてきます。しかしGとチャネルの間はO(酸化膜)があるので電子は通過できずにここで留まってしまいます。その結果、ここが部分的にN型に変わってしまいます。そうすると、同じN型であるD(ドレイン)、S(ソース)とがN型として繋がり、DからSへ電気が流れるようになります。Gの電圧によってD~S間に電気が流れる・流れないを制御することができるわけです。このことから、これはNチャネルMOSFETと呼ばれています。
Sとボディの部分は実は内部で繋がっているため、S→Dを見たときにP型→N型のダイオードになっています。

バイポーラトランジスタとMOSFET、矢印の意味は同じ?違う?
バイポーラトランジスタとMOSFET、いずれも小さな矢印はP型→N型の方向を表しているという点では同じです。しかし、実際使ってみると、ちょっとわかりにくいことが生じてしまいます。バイポーラトランジスタでは、ベースから流す電流の向きと考えることができましたが、この考え方はMOSFETでは通用しないのです。なかなかわかりにくいですね。。。それぞれスイッチとして使う場合のイメージを図にしてみました。

バイポーラトランジスタの場合は、BE間はPN接合になっていて、ここに少し電流を流すことでスイッチになります。しかしMOSFETではそもそもGから先に電流はほぼ流れず、絶縁の向こう側でDS間でNチャネルを形成するという動きになります。このためPNの構造を考えると、この図のように矢印は逆になっているように見えてしまうのです。
バイポーラトランジスタはBE間の電流に比例した電流がCEに流れるので、電流で制御していると考えられます。一方MOSFETはGの電圧でDS間を繋げるか繋げないかのどちらかの動作になるので、電圧でOn/Offを制御していると考えられます。アナログ制御とデジタル制御の違いといえるでしょうか。
もちろんいろんな種類がある
ここではNチャネルMOSFETを例に説明しましたが、もちろん構造によっていろいろな種類があります。以下に簡単にまとめておきます。
① 矢印はP型→N型
このため、最初の図の右側のように矢印が逆になったものはPチャネルMOSFETになります。これまで説明したPNや電気の流れなどが全て逆になったものです。
② 絶縁部分がある
絶縁部分のないJFETというものもあり、MOSFETとは違うものです。
③ 点線部分
ここでは通常はチャネルが形成されていないものを例にとりましたが、これをエンハンスメントと呼びます。逆に通常はチャネルを形成していて、G(ゲート)の制御でチャネルをなくすタイプもあり、ディプリーションと呼ばれています。
これらの詳細はWeb上にわかりやすく優良な解説記事がたくさんありますので、もしご興味を持たれたら探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
MOSFETについて、回路記号の形に着目し、動作をざっくりと解説いたしました。矢印とその向きがポイントですが、バイポーラトランジスタのように使い方のイメージで考えてしまうとちょっとわかりにくくなってしまうので注意が必要です。
・矢印の向きは構造から来ているもので、P型→N型 の向きを表している。
・電流の向きというわけではないので、バイポーラトランジスタの記号と比べると直感的にイメージが異なる



