ご覧いただきありがとうございます。ここでは、電源無しでも記憶できる半導体の仕組みである浮遊ゲート(Floating Gate)について、ざっくりと説明させていただきます。EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等が情報を記憶するための仕組みであり、パソコンやスマホ等に幅広く利用されています。
浮遊ゲートをもつMOSFET
電源無しでも記憶できる半導体を不揮発メモリということもあります。この不揮発メモリの構造としては、MOSFETに浮遊ゲートを追加したようなものになっています。これは特に決まった記号というのはなさそうなのですが、記号的に表現してみるとこのようになるかと思います。浮遊ゲートMOSFET(Floating-Gate MOSFET, FGMOS)と呼ばれているようです。

MOSFETのG(ゲート)酸化膜と半導体本体の間に浮遊ゲートという領域があり、さらに半導体本体とはトンネル酸化膜というものが形成されています。MOSFETの動きをイメージしよう でも解説しておりますが、酸化膜は電気をほぼ通さないものです。トンネル酸化膜も「通常は」電気をほぼ通しません。「通常は」とあえて表現したところがポイントで、これが不揮発メモリが実現できる理由なのですが、詳細は後述いたします。このように、浮遊ゲートは電気的にはどこにも接続されていない、浮き島状態になっています。このことから、もし何らかの方法で浮遊ゲートに電子が入り込ませることができれば、電子はどこにも逃げていかずに留まる、という特徴があります。
高い電圧をかけると書き込みや消去ができる
トンネル酸化膜は通常は電気をほぼ通さないと書きましたが、この部分は非常に薄く形成されており、実はある一定以上の高い電圧(例えば十数V)をかけたときだけ電気流れる=電子が通過できるようになります。そこでG(ゲート)に高い電圧をかけS(ソース)をGNDレベルとした場合と、逆にGをGNDレベルにしSに高い電圧をかけた場合を考えてみましょう。

Gに高い電圧をかけると、Sから電子が供給され、トンネル酸化膜を通過して浮遊ゲートに電子が集まります。しかしGの手前にある酸化膜は通過できず、電子は浮遊ゲートに留まります。この後電圧印加をやめると(=電源が無くなっても)、浮遊ゲートに貯まった電子はどこにも行くことができず留まることになります。一方、Sに高い電圧をかけた場合、もし浮遊ゲート内に電子があればトンネル酸化膜を通過してSから外へ出て行ってしまいます。このように、トンネル酸化膜を通過できるほどの高い電圧をかけることで、浮遊ゲートに電子を貯めたり抜いたりすることができます。
G(ゲート)に通常電圧をかけて、書き込んだ情報を読み出す
今度は高い電圧ではなく、通常(例えば1~2V程度)の電圧をG(ゲート)にかけることを考えます。

この場合はトンネル酸化膜は通過できないので、浮遊ゲート内の電子の状態は変化しません。浮遊ゲートに電子がたまっている場合はGの電圧と電子が相殺されるため、NPN半導体側でチャネルが形成されなくなります。一方浮遊ゲートに電子が無い場合は、通常のMOSFETの動作と同じようにP型半導体内の電子がGにかけられた+の電圧に引き寄せられ、チャネルを形成します。つまり、同じようにGに電圧をかけた場合でも、チャネルが形成されない・されるの2通りの状態になり、これはDS間に電流が流れない・流れるの違いが出てきます。

例えばこのように出力を得るとすると、チャネルが形成されない・されるの違いで出力はVCCかGNDレベルかが変わってきます。これは、書き込まれている情報を読み出していると考えることができます。これが不揮発メモリの原理となっております。
まとめ
電源無しでも記憶できる半導体の仕組みである浮遊ゲートについて、ざっくりと説明させていただきました。高い電圧をかけると電流が流れるが、通常の電圧では流れないように作られているトンネル酸化膜がその仕組みのポイントとなっております。これがEEPROMやフラッシュメモリで情報を記憶しておける原理となっています。


