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ダイオードの降伏現象:並列接続はあまりよくない

ダイオードの降伏現象 回路記号で動きがわかる

以前、整流ダイオードとツェナーダイオードの記事で、ダイオードの逆方向に一定以上の電圧をかけると急に大きな電流が流れるようになる、と書きましたが、この現象についてもう少し詳しくご説明させていただきます。この現象のことを、ダイオードの降伏現象といいます。

ダイオードの降伏現象は大きく分けて以下の2種類があります。
・アバランシェ降伏(電子雪崩)
・ツェナー降伏(トンネル効果)

それぞれについて降伏現象がおきる様子を、ざっくりとしたイメージでご説明いたします😊

アバランシェ降伏

アバランシェ降伏

ダイオードには、逆方向に一定以上の電圧をかけると急に大きな電流が流れるという特徴がありますが、急に電流が流れ始めるときの電圧を降伏電圧といいます。左図は、ダイオードに降伏電圧よりは低い電圧を印加した状態です。ダイオードには電源によって電圧がかかった(電界が生じている)状態で、P型半導体側では多数キャリアである正孔が電源のマイナスに引き付けられています。一方N型半導体側では多数キャリアである電子が電源のプラスに引き付けられています。こうしてpn結合付近には正孔も電子もいなくなる空乏層ができ、キャリアの移動がないため電気は流れません。

右図はさらに高い電圧、降伏電圧よりも高い電圧をかけた場合です。この場合も左図と同様空乏層はできるのですが、P型半導体内の少数キャリアである電子の動きが異なってきます。強い電界により電子のエネルギーが高まり、P型半導体を構成する原子に衝突して、元々あった電子を弾き飛ばしてしまう、ということが起きます!弾き出された電子はさらに他の原子に衝突してまた電子を弾きだし。。。ということが繰り返されます。その結果多くの電子が空乏層にたどり着き、空乏層を通過してN型半導体に至ります。N型半導体からは大量の電子が電源のプラス側に移動することで電流が流れるようになってしまいます。この現象をアバランシェ降伏といいます。アバランシェとは雪崩のことだそうで、電子が雪崩のように移動することから名付けられているようです。

不純物濃度が低い半導体では空乏層が広くなるため、次に説明するツェナー降伏よりもこのアバランシェ降伏の方が起きやすくなるようです。また、降伏電圧はツェナー降伏より高めとなるようです。

ツェナー降伏

ツェナー降伏

次は、空乏層がもっと狭い場合を考えてみます。左図のように高い逆電圧をかけると、やはりP型半導体内の少数キャリアである電子が電源による電界の影響を受けてエネルギーが高まります。そして、狭めの空乏層を勢い余って通り抜けてしまい!N型半導体に至ってそのまま電源のプラス側まで至ります。この結果電流が流れるようになってしまいます。この電子が通り抜けてしまう現象が、そのままですがトンネル効果といい、この時の電圧をツェナー電圧といいます。

狭いので通り抜けてしまう、というのはイメージしやすいですね。空乏層が狭いということは、不純物濃度が高いということになります。また、アバランシェ降伏が起こる電圧よりも、ツェナー電圧は低めのようです。スッと通り抜けるよりも雪崩を起こしてしまう方が大きな電圧というのも、なんとなくイメージしやすいですね。ツェナーダイオードでは、トンネル効果が先に起きて比較的低い電圧で降伏現象となります。一方トンネル効果が起きないようなダイオードでは、もっと高い電圧でアバランシェ降伏に至るということですね。

並列接続はよくない

降伏というとなんか壊れてしまうようなイメージがありますが、半導体の特性と考えた方がよさそうに思います。壊れてしまうのは、降伏が起きたときに大電流が流れてしまう回路構成になっているから、ともいえると思います。ツェナーダイオードは降伏現象を利用することで、マイコンなどに行く電圧を定電圧にするといった用途がありますが、降伏現象が起きている時はそれなりの電流がツェナーダイオードに流れている状態になります。耐えられる電流量には限度があるため、ツェナーダイオードを並列にして電流を分散しよう、とは考えない方がよいです。同じ型番のツェナーダイオードを並べたとしても、個体差のバラツキにより僅かに特性は異なるものです。ツェナー電圧が僅かに低い方のダイオードに先にほとんどの電流が集中して流れてしまうため、並列にする効果はあまりないです。抵抗を並列に並べるのと同じようには考えられないですね。耐えられる電流量を増やしたい場合は、それなりに耐量があるツェナーダイオードの品番を選定し、1個だけで使った方がよいでしょう。

ダイオードの並列は非推奨

まとめ

ダイオードの降伏現象として、アバランシェ降伏とツェナー降伏の2種類について、その原理のイメージをざっくりとご説明いたしました。
アバランシェ降伏:降伏電圧は高め、不純物濃度が低く空乏層は広め
ツェナー降伏 :降伏電圧は低め、不純物濃度が高く空乏層が狭いと起きやすい
ツェナー降伏を利用して定電圧を作るのがツェナーダイオードですが、並列使いをすると一方に電流が集中してしまうので避けた方がよいということもご説明いたしました。

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