ご覧いただきありがとうございます。ここでは、オープンドレインで構成される出力回路について、ざっくりとご説明いたします。以前、CMOSの動きをイメージしようという記事で、CMOS構造の出力回路をご紹介いたしましたが、それと対比してオープンドレイン構造になっている出力回路の特徴をご紹介いたします。タイトルに「便利な」と書きましたが、CMOS構造では実現できないメリットや、一方でデメリットについてもご説明いたします。
オープンドレインとは
オープンドレインとは、そのままですが、ドレインがオープンになっている構造ということです。CMOSと対比して見ていきましょう。

CMOSの出力回路では、PチャネルMOSFETかNチャネルMOSFETのどちらか一方がOnすることで、Highレベル(電源電圧)またはLowレベル(GND)が出力されます。一方でオープンドレインの出力回路では、電源に繋がっていたPチャネルMOSFETが無く、S(ソース)がGNDに接続されているNチャネルMOSFETのみで構成されています。NチャネルMOSFETのD(ドレイン)は内部的には他に接続されておらず、そのまま出力になっています。このため、オープンドレインと呼ばれています。
オープンドレインのメリット
オープンドレインの出力回路は、CMOSに比べて以下のメリットがあります。
・ワイヤードオアができる
・電圧変換ができる

まず一つめのメリットであるワイヤードオアについてご説明いたします。図のように複数のオープンドレインの出力を直接接続し、接続した部分にプルアップ抵抗を付けた回路を考えます。いずれかのデバイスがMOSFETをOnさせてLowを出力すると、接続部分はLow状態になり、プルアップ抵抗に電流が流れます。全てのデバイスのMOSFETがOffの場合はGNDに引っ張るデバイスが無いので、プルアップ抵抗により接続部分はHighになります。複数のデバイスの出力を論理演算して結果を出していることになるので、ワイヤードオアとよばれています。Lowを0、Highを1と考えたら論理積ともいえますが。これはCMOS出力では実現できません。CMOS出力にすると、HighとLowを出力するデバイスがあった場合に出力が衝突して過電流が流れてしまう可能性があります。

もう一つのメリットは電圧変換ができるということです。図のように異なる電源で動作しているICを直接接続して入出力する際に使われます。ただしGNDは共通です。5Vで動作するICの出力からHigh信号を出力したい場合には、MOSFETをOffにして出力をOpenにすれば、プルアップ抵抗により15VをHighとして15Vで動作するICに伝えることができます。これもCMOS出力では実現できない場合があります。5VをHigh出力としても、15Vで動作するIC側ではHighと認識できない可能性があるためです。
このような特徴から、オープンドレインはIC間の通信等で使われたりします。I2C通信などが有名ですね。また、バイポーラトランジスタによる出力でも同様のことができ、その場合はオープンコレクタということになります。
オープンドレインのデメリット
オープンドレインのデメリットは、応答速度が遅いということです。出力回路自身では出力をHighにすることができず、プルアップ抵抗に電流を流してHighにするので応答速度が遅くなり、あまり高速な通信には使うことができません。Highにするための駆動能力が低い、ともいえます。
まとめ
オープンドレインの出力回路について、ざっくりとご説明いたしました。応答速度が遅いというデメリットはありますが、ワイヤードオアや電圧変換といった、CMOS出力では実現できない出力構成ができるという便利さがあります。


